育児初心者の歩み

プレパパによる育児の準備

ワクチンの同時接種は安全なのか

2度目の予防接種の後、
子供が嘔吐して元気のなさそうな時がありました。

妻「複数のワクチンを同時に接種したのが悪かったのかな。
  今度からは一つ一つの方がいいのかな。」
私「同時接種は誰でも行ってるから、それが悪いということはないと思うけど」

とはいえ、確信が持てなかったので、
同時接種に関する研究を調べてみました。

ワクチン同士の干渉はない

同時接種で良くないことがあるとしたら、
ワクチン同士が相互に作用し合って、
子供に害を与えるというシナリオです。

文献[1]によると、

不活化ワクチンは体内で増殖しないので,
不活化ワクチン同士や生ワクチンと不活化ワクチンの同時接種では
ワクチン同士の干渉作用を考慮する必要がない

とのことです。

なるほど、確かに、不活化されたワクチンだと、
干渉のしようがないのかもしれません。

また、生ワクチン同士の干渉についても、

生ワクチンは体内で増殖する必要があるが,
同じ日に接種した場合,
接種後のほぼ同時期に増殖することから,
互いの増殖に干渉しないとされている

とのことで、
ワクチン同士の干渉はないものと考えて良さそうです。

発熱の可能性は高まる

ワクチン同士の相互作用は起こらなくても、
1種よりも複数種の方が、量的には増えるので、
それだけ免疫系が頑張らないといけないのでは、
と考えることは自然だと思います。

文献[2]では、

乳児への不活化ワクチンの同時接種において、  
接種2日目に発熱を認めることが有意に多いが、  
入院を要する重篤な全身症状の有害事象を認めなかった

とされているように、
同時接種により単独接種に比べて発熱する可能性が高まることが指摘されています。

また文献[3]でも、

SAにPCVを含んでいる場合に発熱に
有意差が認められた

SA: 複数同時接種、 PCV: 7価肺炎球菌ワクチン
とされています。

発熱は免疫系が頑張っている証拠とも言えるので、
逆に、同時接種でも免疫系が打ち勝つから問題ないと考えれるでしょうか。

その他のデメリット

ここまで見ているとほとんど問題のなさそうな同時接種ですが、
何かデメリットはあるのでしょうか。

文献[1]では次のようなものが挙げられています。

重い副反応が起こってもどのワクチンが原因か区別できないので
同時接種を控えるという考えもある

副反応の原因特定が難しくなるというものですね。

とはいえ、上で見てきたように、
同時接種により重い副反応が現れることはほぼないので、
これを心配して、適切な時期を逃すよりは、
着実に予防接種を行った方が良さそうです。

まとめ

やはり、予防接種の複数同時接種は問題なさそうですね。

特に不活性化ワクチンについては、理論的にも干渉のしようがないので、
この干渉を心配する必要は全くないということでした。

ただし、発熱の可能性は高まることがあるようなので、
発熱しても驚かずに対応できるようにしておきたいですね。

参考文献

[1] 藤岡雅司. "同時接種をどう考える混合ワクチンの将来." Pharma Medica 36.5 (2018): 29.
[2] 大谷清孝, et al. "乳児に対する不活化ワクチン同時接種の有害事象に関する検討." 日本農村医学会雑誌 64.5 (2016): 798-807.
[3] 中谷正晴, and 上野成子. "臨床研究・症例報告 ワクチンの複数同時接種後の副反応としての発熱に関する検討." 小児科臨床 65.3 (2012): 455-466.